- 2010年07月15日
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チッソ株式会社(社長:岡田俊一、本社:東京都千代田区)は、強度に優れたリチウムイオン電池用セパレータを新規に開発し、本年7月より、リチウムイオン電池メーカーへのユーザーワークを開始いたします。
当社は、環境・エネルギー分野を重視し、次世代新事業の創出を推進しております。
今回開発したセパレータは、ポリオレフィン系樹脂製で単層、厚みは15~ 40μm、空孔率が40%以上、さらに強度と柔軟性のバランスに優れています。この特性は、電池の生産性、安全性向上に有利に働く可能性があり、特に積層型のリチウムイオン電池への展開を目指しております。
2011年3月にパイロット設備を立ち上げ、試験販売を開始したのち、2012年には本格的な販売に向け、生産設備を完成させる計画です。
また、当社は、米コロラド州を拠点とするポーラス・パワー・テクノロジーズ社とさらに高性能なリチウムイオン電池用セパレータの共同開発を行い、自動車向けに展開することを計画しております。
この共同開発では、セパレータに過酷な過充電や過熱が起こった状態でも、異常な電圧や温度の変動を抑制できる特性の付与を目指しております。これにより、あらゆるタイプの電気自動車および定置型用途のリチウムイオン電池、特に大型セルのコスト削減、性能、効率、寿命が改善されるものと期待しています。
当社は、これまでも樹脂加工技術をベースとした電池用セパレータ素材を販売してまいりました。また、経済産業省が主導するリチウムイオン電池の共同技術研究組合にも参画しております。
そして、今後も精密加工技術を進歩させ、地球規模的な環境・エネルギー対策に有効な二次電池のさらなる技術開発に貢献してまいります。
●チッソ製セパレータ(開発品)の表面写真および物性
項 目
単位
セパレータ開発品
膜厚
μm
25
空孔率
%
44
通気度
sec/100cc
470
引張強度
MD
MPa
155
TD
MPa
8
突刺強度
g
435
収縮率
@105℃x2hrMD
%
4
TD
%
0
●ポーラス・パワー・テクノロジーズ社については、同社のホームページをご参照下さい。
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